個は集団の中でこそ磨かれる②

みなさんこんにちは。塾長の山崎です。前回の記事では、集団に所属することの重要性について書かせて頂きました。今回は、「集団についていけない子はどうすれば良いのか」についてお話しさせて頂きます。

塾で授業をしていて感じることは、新しい単元の授業をしたばかりの段階では、勉強が得意な子も苦手な子も、理解度においてそれほど大きな差は開かないということです。違いが生じてくるのは、次の授業で確認テストを行った時です。前回の授業ではある程度できていたはずの子が、突如としてできなくなっているのです。なぜそのようなことが起きるのかと言えば、「塾の宿題をしっかりとやっていないから」に尽きます。授業と授業の間隔はわずか2~3日ですが、習いたての単元を忘れてしまうには十分な時間です。「勉強についていけない」という状態になる以前に、「勉強した内容を忘れてしまう」という段階が必ずあるのです。

そのような事態を防ぐためには、「宿題をやってくる」ということを、集団の中でしっかりとルール化しなければなりません。そして、ルールを破ってしまった子には、それにふさわしいペナルティを与えます。当塾の場合、宿題をやってこなかった子は授業後に残って補習をしてもらいます。それでも終わらない場合には、授業の無い曜日に塾に来てもらい、やり残した課題を進めてもらいます。これを続けていると、「宿題をやる」ということが集団にとっての「当たり前」になります。「当たり前なこと」をやらない子に対しては、徐々に集団内で圧力がかかり始めるのです。実は、この圧力こそが、子供たちの成長にとってとても大切なものだと考えています。

子どもは不思議なもので、親の言うことは聞かなくても、友達の言動には過剰なほど反応します。親は無条件に自分を認めてくれる存在ですが、友達はそうではありません。自分の言動がおかしければ、誰からも相手にされなくなってしまう可能性があります。子ども達にとって、友達は社会そのものであり、その中で認めてもらえないことは、自分の存在を揺るがすような非常事態なのです。

集団であることの最大のメリットは、「当たり前圧力」が生まれることです。宿題を忘れた場合、素直に反省する子もいれば、ごまかしたり、ふて腐れたり、周囲の同情を得ようとあれこれ言い訳をする子もいます。しかし、「宿題をやることは当たり前」と位置づけている集団にとって、ごまかしたり言い訳をしたりする子に対しての反応はいたって冷ややかです。それはそうかもしれません。自分はゲームやテレビを我慢して宿題をしっかりとやってきたのに、サボった人間がわめいていても、手を差し伸べる気にはなれません。普段は仲が良い子どうしであっても、宿題を忘れて言い訳をしているような時は、知らんふりをすることはあっても、フォローするようなことはほとんどありません。親や教師から説教をされるよりも、そのような反応を受けることの方がずっと説得力があるのです。

集団圧力というのは、ルールを破った子に対して、よってたかって責め立てることではありません。むしろ、責め立てるような子はこちらで注意をします。しかし、誰からも共感されず、誰からも受け入れてもらえない状況に立たされることは間違いありません。そして、そのような状況に立たされることで、ようやく宿題をやらなかったことを反省できるようになります。このような集団圧力は、きちんとコントロールしないと必要以上に子供を追い詰める可能性もあるので、教師は常に注意しておく必要があります。しかし、宿題を忘れた子に対してしっかりとペナルティを与えることは、宿題を忘れた子だけではなく、宿題をきちんとやっている子にとっても必要なことなのです。「私たちにとって宿題をやってくることは当たり前なんだ」ということを授業で何度も確認していくことで、宿題忘れという勉強の天敵を撲滅することができます。

「集団圧力」という言葉からは、どこか不寛容で相互監視的な悪い印象を持ってしまうかもしれません。確かに、行き過ぎてしまえば息苦しい雰囲気になり、むしろやる気をなくさせてしまうでしょう。しかし、適切な集団圧力はむしろ組織を活性化し、環境を整え、質の高い切磋琢磨を生んでくれます。子ども達にとって、友達こそが最高の教師であり、友だちからの反応が世間そのものです。それを踏まえた上で、集団をあるべき方向に引っ張っていくことが、教師の腕の見せどころだと思います。

ただし、集団圧力だけで何もかもがうまくいくわけではありません。必要に応じて、個別にフォローをすることも重要です。しかし、個別のフォローをやり過ぎると、子どもは自分でやり遂げる姿勢を放棄するようになり、少しでも分からないことがあるとすぐに解き方を聞こうとする子になってしまいます。そのため、個別のフォローは、必要最小限に抑える必要があります。

授業の内容を理解できない理由のほとんどは、「授業をきちんと聞いていない」からです。「授業はきちんと聞いているのだけどやり方が分からない」という子は、実はそれほど多くはありません。授業をきちんと聞いていなかった子に個別でフォローしていると、「授業を聞いていなくても困らない」、「後でやり方を聞けばいい」と思うようになり、より一層授業を聞かなくなります。

しかし、適切な集団圧力が働いている場合、そのような考え方は通用しません。授業をきちんと聞いていなければ宿題はできませんし、宿題をやってこないとペナルティが与えられる上に、理解を示してくれる人も誰もいません。そうなった時に困るのは自分自身ですので、そうならないようにするため、子ども達は授業をしっかりと聞くようになり、きちんと宿題をやってくるようになります。そしていつしか、ペナルティがなくても、自分で勉強を進められるようになっていくのです。

当塾では、集団であることの強みを最大限に生かすべく、様々なルールがあり、それについて話す時間を毎月設けています。また、個人面談や学年ごとのユニークなイベントがあり、それを通じて集団の結束を強めています。勉強はあくまでも個人戦ですが、個を磨くための最良の環境は、正しいルールのもとで、良き仲間に囲まれることです。そうした環境をつくるために、当塾では様々な取り組みをおこなっております。

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